中東では、チュニジアやエジプトに続いて各国で反政府運動が繰り広げられていますね。
しかし、運動の内容としてはチュニジアやエジプトと比較して、かなり運動自体が劣化しているような印象を受けます。
各地で暴動を起こす民衆が多い。
抑圧された民衆の蜂起ですから、暴動につながりやすいという面は否定できないと思うが、エジプトの反政府運動と比較すると余りにもお粗末という印象を受けます。
反政府運動も、民主化運動も、民衆の生活向上の為の手段の一つであり、過程に過ぎないはずである。
反政府運動や民主化は、それ自体が目的になってはならない。
例えるならば、一昨年の日本を思い出して欲しい。
政権交代は、国民の生活向上の為の手段の一つで、一過程に過ぎないはずなのに、いつの間にか政権交代自体が目的になってしまい、国民の生活向上どころかむしろ国民生活は悪化した。
手段と目的が入れ替わってしまっては本末転倒なのだが、メディアも国民も政権交代という言葉に酔ってしまって、本当の目的を見失ってしまった。
現在、中東では独裁政権打倒熱に浮かれた若者達が、チュニジアやエジプトの成功をみて反政府運動を行っているが、現実には彼らが起こした暴動によって治安は悪化し、民衆の生活は更に混迷している。
民衆の生活向上の為の運動なのに、実際には民衆の生活を脅かしているのです。
チュニジアの反政府運動は詳しく知らないのですが、エジプトの反政府運動の指導者はかなり優秀な指導者である。本来の目的を見失う事無く、暴動を起こさないように周知徹底していたのだろうと推測している。
チュニジアやエジプトの場合でも、独裁政権打倒は民衆の生活向上の為の手段の一つで過程に過ぎない。本当に大切なのは次代のリーダー選びを間違わない事だ。
リーダー選びに失敗すれば、リーダーの首をすげ替えただけの無意味な運動になってしまう。本当に大切なのは、むしろこれからなのだ。
しかし、現在反政府運動が過熱している地域では、一部の民衆が暴徒化して民衆の生活を脅かしている現状なので、すでに革命は失敗しているといっても過言ではないだろう。
取り返しがつかないような状況に陥る前に、反政府運動に参加している人たちは、本来の目的を再度思い出して欲しいと思う。
更に酷いのはリビアである。
反政府運動をしている民衆に対して空爆まで行っている。
国民の生活(生命や財産)を守るべき国家が、国民を殺傷しているのだから、すでに国家として機能していないといえる。
政府も民衆も本来の目的を見失ってしまっているのだから、これはもう革命と呼べるようなシロモノではなく、政権の奪い合いである。
国家の最大の意義は、国民の生活を守る事であり、反政府運動の目的は国民の生活向上である。本来の目的は両者共に国民の生活を守る事なのに、リビアでは双方が本来の目的を見失ってしまっているのだから、今後は無意味な殺戮が繰り返され、憎しみの連鎖を生み出すだろう。
誰も勝者になれない戦いで犠牲者ばかりが延々と増え続ける事になりかねないのだ。
一刻も早く本来の目的がなんなのか思い出して欲しいと思う。