東京都知事選が終わりましたね。
結果は舛添氏の圧勝という事になりました。
脱原発を争点として選挙戦を展開した宇都宮・細川両氏は惨敗。
「脱原発で候補者を一本化すれば良い」という意見もありましたが、結果を見れば両氏の得票を足しても舛添氏には追いつけないという負けっぷりでした。
そりゃそうでしょう。当Blogでも指摘したんですが、原発が一つも無い東京都で脱原発を争点にするなんて的外れも良いとこです。都知事選についての雑感
似た様な理由で、元軍人の田母神氏も惨敗でした。元軍人ならば国政の場で国防関連の仕事をして欲しいですよね。
ただし、田母神氏の得票は61万票で、得票率は12.39%です。しかも20代30代の支持を集中的に集めています。
田母神氏については彼の元自衛隊航空幕僚長という経歴から極右の支持を集めると予想していたんですが、20~30代に右派が多いという事でしょうか。
今回は田母神候補の得票と若者の投票傾向を考えてみたいと思います。
田母神候補の得票数と傾向からの問題提起
思い当たる事といえば、極右や極左政党が台頭する背景には必ず貧困と政情不安が存在します。これは歴史が証明している事ですし、間違いはないでしょう。そして今の20代30代の貧困問題は深刻だという事です。
今のところ安倍政権は安定した支持を得ていますが、安倍政権以前の数年は毎年首相が変わるという状況でした。政情不安は慢性化しており既に特筆すべき事象ではないですが、国民の支持が極右、極左に移行する背景としては充分です。
その政情不安に20代30代の貧困が深刻化した事が、田母神候補の支持に結びついたと考えられます。
特に首都圏での若者の貧困問題は深刻化しているという証拠だと思います。
為政者の皆さんは、今回の田母神氏の得票を軽く見てはいけません。若者の右傾化という陳腐な結論付けは止めて欲しい。
今回の都知事選における若者の投票傾向は、貧困に喘ぐワーキングプアたちのSOSです。一所懸命に働いても生活保護の金額以下の所得しか得られない若者達のSOSです。
生活保護を必要以上に叩く傾向が強くなったのも、背景には貧困があります。
そりゃそうでしょう。汗水たらして働いて嫌な上司の叱責に耐えながら得た賃金が、生活保護受給者の受給額に及ばないのです。「なぜ働いてる俺達がこれだけしか稼げないのに、働いていない連中がなんで俺達より所得が多いんだよ(怒)」って気持ちになるのは当然でしょう。
だからといって、生活保護叩きを容認する訳にはいかないんですが、そうなる気持ちは多くの人に理解して欲しいと思います。
その貧困者のSOSサインが今回の田母神候補への投票に繋がったといえます。
東京都の課題は、福祉の充実、セーフティーネットの充実は必要不可欠ですが、福祉やセーフティーネットの充実以上に、働いているのに貧困に喘いでいる若者の救済に力を入れるべきです。
働いてるのに報われない貧困層の若者の憎悪は、いずれ福祉社会の否定やセーフティーネットの否定に繋がり、彼等の攻撃対象がお年寄りや社会的弱者に向うのも時間の問題という気がします。
暴発した貧困層の攻撃は、真っ先に生活保護受給者に向うでしょう。一番判り易い攻撃対象ですから!
そうならない為にも、田母神候補の得票数や若者の投票傾向と真摯に向き合って欲しいと思います。
本来ならば若年層の貧困問題に一番力を入れなきゃいけないのは共産党や社民党なんでしょうけど、若い貧困層の支持が右派の方向に流れている以上、共産党や社民党は票にならない弱者を支援する事はないでしょう。
救済の無い貧困層を見捨てて良いのでしょうか?彼らは未来を背負った若者達なんですよね。
まずは政権政党である自民党が、若者の貧困問題を取り上げ真剣に改善する事を望みます。
派遣法の改善とか小手先の改革では駄目です。大規模な財政出動による公共事業の促進と、それに伴う雇用拡大が一番現実的な対策では無いかと私は考えています。雇用が増えれば必然的に労働者が不足します。労働者が不足傾向になれば企業は人員確保の為に賃金を増やすでしょう。
市場原理とはそういうものです。
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