八ッ場ダム
八ッ場ダムは、群馬県吾妻郡長野原に建設されていたダムです。
1952年に建設が発表されてから、長い間反対運動が行われたのですが、1992年にダム建設推進を前提とした協定書が長野原町、群馬県、建設省の間で締結されました。
建設が発表されてから40年の反対運動の末に、なんとか建設合意に至ったというダムです。
1994年に工事がスタートしましたが、現在でもダムの本体工事には至っていないという状況です。
ダム建設の場合、多くは山間部に建設されるので、人や資材を搬入する為に工事用の道路建設からスタートします。
工事用道路の建設開始から15年経過しても、まだ本体工事に至っていません。
政権交代による中止決定
9月16日、鳩山由紀夫内閣が正式に発足しました。
新しく国土交通大臣に就任した前原誠司は認証式後の就任会見において八ッ場ダムの事業中止を明言しました。
鳩山由紀夫首相も翌17日の記者会見でこれを支持した。
政権交代に伴う国の方向転換に、住民や関係者は強く反発しています。
八ッ場ダム建設に関する基本協定が締結された1995年当時、鳩山首相と前原国交相はいずれも新党さきがけの党幹部として、八ッ場ダム建設を推進していた事も、住民や関係者にとって納得出来ない要因ですが、すでに住宅やお墓を移転した住民が多く「今更なんで中止なんだ」という気持ちの方が強いと思います。
ダム建設の是非と住民感情
ダム建設に関しては、不要論が多いように感じますが、住み慣れた土地を離れ新たな生活基盤を築こうとしていた住民にとって、今回の国の方針転換は納得出来ないし、容認できない問題だと思います。
ダム建設の是非を問う問題ですが、様々な側面を持っているために、新政府の是非を問う問題にもなりかねないような印象です。
前原国交相は「住民の合意が得られない限り、建設中止の法的手続きには入らない」と明言しており、まだまだ解決しない問題だと思います。
私は、新政府の建設中止という考えは変わらないと思うし、住民や関係者だって一方的に中止では納得出来ないので、今後は世論を巻き込んだ問題になるだろうと思います。
民主党は、衆院選のマニフェストに「川辺川ダムと八ッ場ダムの建設中止」を掲げている。
しかし「友愛」というキャッチフレーズを掲げる民主党が、強引に中止を強行したら、新政府の求心力は一気に消失しかねない。
難しい舵取りを突きつけられた新政府の判断が、一体どんなものなのか気になるところです。
最終的には建設中止は強行されるだろうと思いますが、国の方針に振り回された地元住民が、ボロボロに傷つき放置されるような結果にならなければ良いのですが・・・。