2009年3月7日土曜日

共存すると言う事

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よく、共存共栄という言葉を耳にします。

読んで字の如く、「共に存在して共に繁栄する」という意味です。

この点で、異論のある方はいないと思います。

共存

共存というと、共に存在するという意味ですが、なぜか私の周りの人たちは、勝手に拡大解釈している人が多いように感じます。

例えば、同じ商圏内に大手ショッピングセンターが2店舗存在したとします。

これは、共存なんです。

そして、お互いが競争する事で、地域の経済が活性化して、2店舗共に利益を得る。

ここまでくれば、「共存共栄」なんですよね。

しかし、片方の店舗(A店)が資金繰りに苦しくなり、もう片方(B店)は「ライバル店(A店)が潰れたら、地域の売り上げは全部自分(B店)のものだ。」と考えます。

これは市場原理というモノで、当然の考え方です。

実際には

しかし、実際には倒産したショッピングセンター(A店)は借入金の返済などの為に、店舗を売却します。

安価で売りに出された店舗を、他の地域のショッピングセンター(C店)が目をつけて購入する。

新たな競合相手が現れるのですが、C店は店舗を格安で購入した為に、開店準備費用は最小限に抑えられている為、借入金も最小限です。

金利負担が少ないから、その分お客様に格安で商品を提供出来ます。

ここで、B店は「しまった!逆に強烈な競合店を参入させてしまった。」となるわけです。

そして、C店の快進撃により、B店も倒産を招いてしまいます。

その後

C店の強烈な格安戦略は、中古店舗を格安で購入したから、初期投資が最小限で済んだから、金利負担が少なく、その分が販売価格に反映された結果です。

倒産したB店も当然店舗の売却をします。

しかし、C店の強烈な安売り戦略を知っているので、他の資本は足踏みするでしょう。

「今から参入するなら、C店以上の安売り戦略が必要だ。いくら店舗購入費用が安価でも、継続して経営するのは困難だ。」と判断したら、B店は売れなくなって、廃墟になるでしょう。

さらにその後

格安物件を購入し、格安戦略で地域経済を席巻したC店ですが、店舗は老朽化して改築、改装を余儀なくされます。

C店の経営陣は、店舗の改築・改装には莫大な費用が掛かり、その費用を投資すれば、今後は今までのような安売り戦略は採れない。

そんな費用を投資するよりも、また他の地域で潰れた店舗を購入して、同じ戦略を繰り返したほうが効率がいい。と考えるでしょう。

C店は、この地域から撤退します。

元々安価で購入した物件ですから、売れても売れなくてもあまり懐は痛みません。

C店の撤退した後は、ショッピングセンターが無くなって、ショッピングには不便な地域が残りました。

アメリカには、こんな地域が沢山あるそうです。

そんな結果を招かない為に

このような悲惨な結果を招かない為には、どうすればいいのでしょうか。

結果を変える為には、結果を生み出した要因を探して、修正すればいいのです。

今回の場合は

1、資金繰りに苦しくなったA店

2、外資(C店)の参入。

3、格安戦略に飛びついたユーザー

等が、要因として考えられます。

自由競争社会で、ユーザーに「安売りに飛びつくな!」などと言える訳がない。

3番の要因は、修正不可能です。

外資の参入により、格安でショッピングが出来るのなら、ユーザーは大喜びですよね。

2番の要因も修正するのは困難です。

A店の資金繰りの悪化は、A店の経営者にしかわからない要因です。

他人が立ち入った話を出来るわけないと思います。

全く打つ手が無いように思いますが、 外資の参入を防ぐ為の方法が一つあります。

A店の店舗を、地元の資本(D店)が買い取るのです。

C店と同じ条件で店舗を購入したD店は、C店のように格安戦略で勝負するでしょう。

そして、B店は倒産、残った店舗は地元の資本に売却。

地元企業2社で共存し続ける事が可能です。(経営者は替わりますが)

常に地元の資本で、地域のショッピングセンターが経営されたら、改装・改築による出費を嫌って撤退する事は無いでしょう。

無形の資産

地元の企業が、改装・改築程度の出費で地元の店舗を捨てたりしません。

なぜなら、その地元には、知人や縁者など無形の財産が沢山あるからです。

外資は、地域に対して何も担保が無いのです。

地元企業は、地域での人脈など、無形の財産を多数有して居り、それが担保になるのです。 地域と地元企業の共存と言う事です。

共存とは

共存とは、利害関係に基づく「ギブ アンド テイク」でなければ、自由経済の下では成立しません。

「持ちつ持たれつ」の関係も、「ギブ アンド テイク」ですが、利害関係が一致しないと脆いものです。

地元企業は、無形資産と言う担保を地域に差し出しています。

よって、多少採算効率が低下しても、地域を見捨てて他の地域に移ったりしません。

最悪、他の地域に移るときは、地域の人脈その他の担保は諦める事になります。

無形資産と採算効率のバランスは当然必要ですけど・・・

共存って、実は非常にドライなものだと思うのです。

「与えるもの」と、「与えられるもの」のバランスが共存の基本です。

実は、派遣切りも

実は、昨今話題になっている「派遣切り」の問題も、「企業と労働者の共存共栄」で考えられます。

労働者は、時間と労働力を企業に与える。

企業は、労働者に対して、労働力に見合う賃金を与える。

労働力と賃金のバランスが崩れたら、その共存は成立しません

共存出来ないのであれば、企業と労働者の関係は崩壊するのです。

この場合、お互いに担保がありません。

労働者側に何らかの担保があれば、今のようにアッサリと契約打ち切りにはなりません。

例えば、企業の取引先の親戚や縁者とかだと、解雇すれば取引先に不信感を抱かせます。

取引先の親戚なら、派遣社員という事は無いでしょうけど・・・

どうすればいいのか

どうすればいいのか。

それは、企業にとって重要な人材になるしかないのです。

自分がいなければ、その仕事は成り立たないようなスキルを身に付けるしかないのです。

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